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東日本大震災発生時からの双葉消防本部の歩み
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大地震発生!(平成23年3月11日)
---14時46分
三陸沖を震源とする東北地方太平洋沖地震が発生、マグニチュードは9.0。楢葉町・富岡町・大熊町・双葉町・浪江町で震度6強、広野町・川内村で震度6弱、葛尾村で震度5強であった。
---14時47分
「双葉地方広域市町村圏組合消防本部消防計画」に基づき、浪江消防署通信室に[消防指揮本部]を設置するとともに、富岡消防署に[現地指揮本部]を設置し、全職員に対し第2次非常召集を行う。
管内最大震度6強の激しい揺れにより、消防本部・浪江消防署・富岡消防署の庁舎内は壊滅的な被害を受ける。
停電により電気設備が使用不可能となり、119番通報回線の不通、福島第一・第二原発とのホットラインが不通となる。
浪江町内で複数の家屋が倒壊し住民が下敷きとなっているとの通報により救助活動を展開する。
大津波警報発令(平成23年3月11日)
---14時49分
「大津波警報」発令
沿岸地区の避難広報及び住民避難誘導のため、直ちに浪江、富岡消防署・楢葉分署の各部隊に対し緊急出動を命じる。
地震及び津波による負傷者等を救護収容するため浪江消防署前庭に「応急救護所」を開設し救急救命士を配置する。
大津波襲来(平成23年3月11日)
---15時27分
地震発生41分後、津波第一波襲来、以後数次にわたって津波が襲来する。
管内沿岸地区に大津波が襲来、家屋・車両等の流失により瓦礫(がれき)が溢れる現場周辺は惨憺たる状況と化し、消防活動は困難を極める形となった。
津波到達区域の災害活動は、救助活動を優先的に沿岸の全6町(浪江町・双葉町・大熊町・富岡町・楢葉町・広野町)で開始し、津波に巻き込まれた負傷者を救助するとともに、負傷した住民等を救急搬送する。
福島第一・第二原発、広野火力発電所の被害状況の確認を行うとともに、津波到達に係わる情報収集及び各出動隊の指揮命令の統制に当たる。
福島第一原発事故発生(平成23年3月11日)
平成23年3月11日15時27分、福島第一原発1号機・2号機・3号機の全交流電源喪失により原災法10条が発令、同日16時42分に1号機・2号機の非常用炉心冷却装置が注水不能に陥り原災法15条が発令される。
また、福島第二原発においても翌12日5時22分に原災法15条の発令に至る。
3月12日15時36分、福島第一原発1号機における「水素爆発」並びに18時25分の「福島第一原発半径20q圏内避難」の総理指示により、同日消防指揮本部を川内出張所へ浪江消防署の人員及び車両を葛尾出張所へ、富岡消防署及び楢葉分署の人員と車両を川内出張所にその機能を移転し災害対応を継続する。
このことにより、川内出張所は救急車5台・消防車輌20台・人員96名、葛尾出張所は救急車2台・消防車輌4台・人員28名の体制となる。川内出張所は通常時4-5名体制のキャパシティしか有しておらず、96名の転戦配置は想像を絶する過酷な環境下に、職員の寝食を強いることとなった。
福島第一原発では3月11日の事故発生以来、原子炉内燃料棒への継続的注水機能が喪失したため、緊急代替措置として外部からの注水冷却が必要になった。
双葉消防では福島第一原発濾過水精製の淡水を搬送するため、免震重要棟まで出動し、協議の後3月13日12時54分に自衛隊に対し淡水搬送及び給水を実施した。当該支援は翌3月14日8時08分から再度実施したが、同日11時01分に3号機で発生した「水素爆発」によって中断した。
---11時01分
福島第一原発3号機で水素爆発発生
→東京電力社員・協力企業作業員と自衛隊員など11名の負傷者が発生したことを受け、以下の活動を行った。
水素爆発により受傷した男性1名を福島第二原発応急処置室へ救急搬送
爆風により受傷した男性5名を福島第二原発ビジターホールへ搬送
爆風により受傷した男性1名をOFCから福島県立医大付属病院へ救急搬送
OFCから男性1名を自衛隊福島駐屯基地へ搬送→現場処置不搬送
福島第一原発3号機リアクタービル爆発により受傷した男性3名を福島県立医大付属病院へ救急搬送
OFCから救急要請→男性1名太田西ノ内病院へ搬送
原子力災害対応の継続(平成23年3月12日)
放射線量測定は「現場が作業環境に適しているか否か」を判断する指標となるとともに、現場活動時間を算定し活動方針を決定する判断基礎とするほか、防護体制の装備を決定するうえで、ルーチンポイントの放射線量測定及び管内の放射線量測定は、20q圏内での消防活動を展開するために非常に重要であった。
また、スクリーニングは消防業務を継続していくための個人被ばく管理の観点から、ことさら重要な業務の一つであった。
双葉消防隊員は上記の防護体制を確立した上で、20q圏内に残留する避難困難者の探索・救護活動を展開するとともに、住民避難後の火災や犯罪防止のため警戒活動を継続してきた。
福島第一原発では、3月11日の事故発生以来依然として深刻な状況が続き、3月16日未明に4号機において火災が発生する。
双葉消防は、不測の事態及び緊急の出動要請に対応すべく万全な消防体制の確立に努めるも、当該火災では建屋周辺の100msv/h〜400msv/hに及ぶ高い放射線量、水素爆発によるがれきの散乱で進入が阻まれるとともに、さらに3号機からの「発煙事象」により緊急退避を余儀なくされる。
3月12日から一次避難場所となった川内村では、村内15箇所の避難所を運営し最大時で約6,000 名の避難住民等が川内村内において避難生活を行うことになり、避難所内での容体変化等による救急要請が増加した。
特に川内診療所(ゆふね)では、医師が管内残留者等の救急搬送に対して積極的に受入体制を整え、救急隊と連携しながら多くの避難住民の救護活動にあたった。
救急隊は救急搬送に加え、放射線量のスクリ−ニング処理と各避難所の管理運営等の支援業務に24時間体制で当たった。
消防本部事務機能は、OA機器の不具合や通信機器が機能不全状態にあり、外部との情報途絶状態が続いていたが、平成23年4月1日から川内村コミュニティセンター研修室を借用し、消防本部仮事務所として平常時の事務業務も併せて実施するに至った。
管内沿岸地域の津波による行方不明者の捜索活動等は、福島県警察(双葉警察署)とともに、4月9日に広野町から捜索活動を開始した。
また、警戒区域内(浪江町・双葉町10km圏内/富岡町・楢葉町20km圏内)のエリアとなる4町については、現場の空間放射量を勘案しながら、4月14日より開始する。
捜索は、被害が特に甚大であり多数の行方不明者が発生している浪江町(請戸地区・高瀬地区・棚塩・幾世橋)から活動を開始し、以降は捜索対象地(沿岸地区等)の空間放射線量を注視しながら、双葉町(中野地区・中浜地区・両竹地区・郡山地区)、富岡町(仏浜地区・駅前地区・下郡山地区・毛萱地区)に移行しながら捜索活動を続ける。
警察合同の第一次捜索活動は6月30日まで実施し、この間の遺体の発見数は194体を数えたが、双葉管内では10月20日現在24人の方が行方不明となっている。
また、当該活動に係る消防活動は活動日数78日間、延べ活動時間484時間、延べ出動隊252隊、延べ隊員数は804名を数えた。
これに加えて福島県警が浪江町(双葉警察署浪江分庁舎)で行っている遺体洗浄作業のために、タンク車(水槽付きポンプ車)1台を配備し、78日間、延べ隊員数153名を派遣し洗浄用水の補給支援を実施する。
富岡町・川内村の二次避難場所となっていた郡山市のビックパレットふくしま(避難住民約2,500人(最多時))において、4月9日に感染患者が複数名発生。避難生活が長期化の様相を呈し、施設内の居住環境等も悪化する傾向が見られ、更なる感染症患者の発生が懸念された。
このため、緊急的に救急隊及び救急自動車の配置を決定し、臨時診療所との連携体制を構築し4月10日から運用を開始した。当該救護・救急体制は両町村の応急仮設住宅の建設が進捗したことや住宅借上制度が定着し、二次避難所の避難者が減少したこと、比例して救急需要が減少していることなどを踏まえ、各関係機関との調整を経て6月30日を以て撤退する。
4月10日から6月30日までの期間に47件の救急要請事案が発生し、45人を郡山市内の医療機関を中心に搬送している。
また、この期間中に派遣した救急隊は延べ82隊、隊員数は246名を数えた。
双葉郡圏域内は、原子力災害対策特別措置法に基づき福島第一原発から半径20km圏内(海域も含む)が「警戒区域」として設定され、平成23年4月22日午前0時以降当該区域への立ち入りが制限された。
警戒区域の対象地区は、富岡町・双葉町・大熊町の全域と、浪江町・川内村・楢葉町・葛尾村のそれぞれ一部で、域内の人口は約 6万2,000人(平成22年国勢調査県推定値)となっている。
また平成23年4月22日、福島第二原発について避難区域が半径10kmから8kmに縮小されるとともに、新たに福島第一原発から半径20q以内を除く楢葉町の一部が「緊急時避難準備区域」に指定された。
平成23年5月7日、原子力災害現地対策本部長から「警戒区域への一時立入実施」の発表により、5月10日(川内村54世帯、92名)を初日として開始された。
双葉消防は管轄消防本部として、中継基地(川内村村民体育センタ−・広野町総合体育館・古道体育館・馬事公苑)の支援及び20q圏内で発生した救急事案並びに輸送車両の事故による多数傷病者等の発生を考慮した救急救助等の対応を任務として活動を行った。
また、当該一時立入には中継基地から医療機関までの搬送を担うため、県内各消防本部から救急隊1〜2隊の支援派遣がなされた。
警戒区域等での活動に際し内部被ばく検査の重要性が高まってきたことから、平成23年5月16日に福島県立医大附属病院の支援を受け、特に外部被ばく積算線量の高い職員10名に対してホールボディカウンタ(WBC)による先行測定を行い、双葉消防本部 「消防職員の個人被曝線量測定及び健康診断の実施計画書」に基づき、「福島県立医科大学附属病院」との協議・調整を経て、平成23年12月に第1回の全員検査を実施した。
以後3ヶ月毎に検査を「福島県立医科大学附属病院」にて実施してきた。
平成25年5月に「福島県立医科大学附属病院」及び「ひらた中央病院」と平成25年度以降のWBC検査について3者協議を行った結果、WBC検査については年4回にわたり「ひらた中央病院」において実施し、検査値の分析・評価・管理については「放射線被ばく検査の健康調査業務受託契約」を「福島県立医科大学附属病院」と締結し、全職員に対して年2回の評価会及びフィードバックを行うこととした。
平成23年4月22日、福島第二原発について避難指示区域が半径10kmから8kmに縮小されたことに伴い、福島第二原発から10 kmに所在する楢葉分署は「緊急時避難準備区域」となり消防拠点としての活用が可能になった。このため、インフラの復旧、庁舎の修復、通信機器の整備等の準備期間を経て平成23年6月10日に楢葉分署への転戦計画を実践した。
「川内出張所」については、3月12日以来「原子力災害対策指揮本部」としての機能を有し、消防部隊の系統的な指揮・統制、国・県内外の各関係機関との連絡調整の殆どを担ってきたこと、また川内村コミュニティセンター内に設置している消防本部との連携体制の継続が重要であること、加えて双葉地方の地勢の観点から現在機能する署所としては地理的に比較的中心部分にあり、管内全域に迅速に対応可能であることなどの理由から平成23年6月10日時点における川内出張所設置の指揮本部機能は継続しながらも人員・車輌の配置を縮小することにした。
双葉消防職員は自らも避難者としての立場にあり、家族と離れて勤務に就いていること、また大津波の襲来により壊滅的な被害を受けた沿岸部の惨憺たる状況の中での行方不明者捜索活動により、職員の心身に大きな侵襲として蓄積している状態であった。こうした状況下では、PTSD(心的外傷後ストレス症候群)の発症が懸念されており、消防業務の継続性を維持していくためには、心的障害による職員の喪失を回避することは不可欠であった。こうしたことから、福島県立医大附属病院におけるWBC検査時に併せ放射線障害に関する個人カウンセリングを実施するとともに、総務省消防庁「緊急時メンタルサポートチーム」並びに福島県立医大附属病院の支援を受け、6月12日(日)・13日(月)に全職員に対して心のケア及び個人カウンセリングを実施した。
福島第一原発事故に対する消防対応が長期化しており、職員の疲弊感も顕在化し始めている状況に鑑み、総務省消防庁の配慮により平成24年3月25日(日)・26日(月)に第2回目、平成26年2月1日(土)・2日(日)に第3回目のメンタルケアを実施するに至った。これにより職員の心身の健康化、士気向上や住環境の改善に著しい効果がもたらされた。
双葉消防職員はその殆どが福島第一原発から30q圏内に居住しており、自らも避難者としての立場にもあり家族と離散した状態が続いていた。当時現場で活動していた110名の職員の避難居住状況を見てみると、双葉管内(20q圏外)5名(4.5%)・県内他市町村93名(84.5%)・福島県外12名(10.9%)となっており、県内居住者の勤務地までの平均距離は約60qとなっていた。二次非常配備による待機宿舎での待機生活に加え、6ヶ月間以上に及ぶ劣悪環境は職員の心身に大きな侵襲となり得る危険性があることから、住環境の整った待機宿舎の整備は急務であった。
こうしたことに鑑み、総務省消防庁の支援を受け7月1日から広野町及び川内村に、職員の待機宿舎を確保できたことは当該災害対応を継続する上で大きな力となった。
また、平成24年4月1日からは広野町サッカー支援センター内に、同年8月13日からは川内中学校旧寄宿舎を借用し、遠距離通勤者用待機宿舎を確保した。このことにより緊急的な非番召集に対して職員応召の確実性と迅速性が高まり、災害発生時の戦力確保が円滑になった。
応急仮設住宅への訪問は、平成23年9月26日から「ふれあい巡回訪問事業」として、当時県内92箇所に建設されていた応急仮設住宅全てを対象に開始された事業である。「ふれあい巡回訪問事業」は、仮設住宅からの火災発生の絶無を実現するとともに、避難住民の心に届く消防行政を目指して開始したものであり、平成26年度まで毎年実施している。
また、平成24年度からは火災による死者が高齢者に集中していることや、孤独死を防止することを目的に一人暮らし高齢者世帯を重点に「直接対話」を心掛けた事業も併せて継続実施している。
平成26年4月1日時点の応急仮設住宅は福島県内106箇所となっているが、訪問事業の展開に際しては、県内消防本部・双葉警察署・各町村役場・各町村消防団・婦人消防隊などの協力を頂いている。
消防本部は平成23年4月1日から川内村コミュティセンターの研修室を借用していたが、川内村は平成24年4月から住民帰村が本格的に進められることから返還を考慮しなければならないこと、また4月に予定されている警戒区域の見直しを考慮するに、早急な移転計画が求められることになった。警戒区域が見直された場合、20km圏内の復旧・復興作業が加速し、人口の流入も予想されること、さらに高速道路の復旧や一般道路の改修が進むことで指揮隊として災害現場への到着時間を早めることが必要となる。
こうしたことを踏まえ、現有車両と人員の有効活用を推進できる早期の消防本部移転計画を実現することが必要であると判断し、平成24年4月1日に「広野町サッカー支援センター」の一室に消防本部事務機能を移設した。
消防本部機能を成24年4月1日に広野町サッカー支援センターの一室に移設したことから、現場活動隊と密接な関係がある災害対策消防指揮本部についても川内出張所から楢葉分署に移設した。
警戒区域の設定により既存庁舎が使用不能となったため、代替施設として仮庁舎を建設し、災害対策消防指揮本部としての機能を集約するとともに、消防救急無線デジタル化等の施設整備を図ることとした。
仮設庁舎は総務省消防庁の支援を受け、原子力災害緊急消防援助隊等活動費交付金の交付決定がなされ、楢葉分署敷地内に建設し平成24年9月28日に完成引き渡しを受け、平成24 年10月1日から消防本部事務機能並びに災害対策消防指揮本部機能を仮庁舎に移設、運用開始に至った。
20km圏内警戒区域の火災対策(平成24年)
20q圏内の警戒区域(現避難指示区域)では、田畑等の草が伸び放題で荒野と化し冬場を迎え乾燥した季節風ともに、通常より可燃性の高い可燃物としての危険性が危惧されている。荒野は徐々に密集市街地へと連続し、一旦火災が発生すれば気象状況によっては消防本部の消防力を遙かに超えた大規模災害へと発展することが予想される。
20q圏内は地震の影響により所々で道路が損壊し、防火水槽に辿り着けない状況にあるとともに自然水利も利用しにくい危機的状況にある。
こうした現状に鑑み様々な防火対策並びに警防対策の強化を図ってきた。
「警戒区域及び計画的避難区域における双葉消防本部火災対策計画」の策定
警戒区域内の火災の早期発見及び早期消火体制の確立
→警戒区域内の巡回警戒強化
→震災がれき仮置き場の警戒強化
→消防団による定期的な警戒区域内巡回等の実施
「福島県広域消防相互応援協定に基づく警戒区域及び計画的避難区域内の広域応援隊の活動方針」の策定と施行
「双葉地方広域市町村圏組合消防本部受援計画に基づく警戒区域及び計画的避難区域における受援体制」の策定
[1]可搬式消防ポンプの配備
20q圏警戒区域内には1,217基の消火栓が設置されているが、水道管の破断などにより総ての消火栓が使用不能に陥っているほか、用水路も所々損壊し水が流れていない状況にある。
長時間給水できる安定した水利を確保するには、自然水利により補完することが重要であるが、道路状況や地勢の状況により消防ポンプ車が部署できない河川・湖沼等の自然水利が点在するため、20q圏内4町から各1台ずつ可搬搭載車を借用し、楢葉分署・川内出張所にそれぞれ各2台を配備し11月1日から運用を開始した。
[2]警戒区域内への監視カメラの設置
20q圏内警戒区域の火災を早期に発見するために、双葉消防本部火災対策計画に基づき毎日実施する管内全域の警戒活動の強化を図っているが、放射線被ばく線量低減の観点から、24時間体制での活動が困難である。
このため、24時間体制で各町の準市街地を監視するため立入が制限されている各町(楢葉町・富岡町・大熊町・双葉町・浪江町)の役場屋上等に監視カメラを設置し、火災を早期発見できる体制を構築した。
[3]消火用水確保のための高性能水中ポンプの導入
20q圏内の警戒区域においては、防火水槽による消火活動が主体となるが、有限水利であることからこれらを補う代替用水の確保が急務であった。
20q圏内において長時間使用できる消防用水は、各町村を流れる2級水系9河川等である。20q圏内に所在する29の住宅密集地は全て当該9河川のそれぞれのほぼ1q圏内にあり、中継体制を確立することで消火栓を補完できる水量が確保できるものと考え、大規模火災時の消火活動に備え大容量(2500g/min以上)を給水可能な高性能ポンプを整備した。
[4]大型(10t)水槽車の配備
消火栓が使用できない状況下においては、河川・湖沼等からの中継体制を整えることが重要である。しかし、中継体制が整うまでに一定の時間を要することから急性期の消火体制を補完する手段として10トン級大型水槽車2台以上の配備は必備であった。
静岡県富士市消防本部並びに愛知県新城市消防本部から、10トン大型水槽車の無償譲渡を受け、平成23年4月20日に川内出張所並びに楢葉分署に各1台ずつ配備完了した。
[5]地上設置型防火水槽の配備
管内の防火水槽は震災の影響により約10%が使用不能になっており、防火水槽の整備が急務であった。このため各町村毎の警防計画との整合性を図りながら、10トンクラスの地上設置型防火水槽の配備について検討を行い、原子力災害緊急消防援助隊等活動費交付金の交付を受け平成24年6月から順次設置を開始し、特に水利が不足している住宅密集地近傍に10トン水槽を4基ずつまとめ置き、初動時の迅速な消火作業が行えるよう整備を図った結果、平成24年7月5日に8箇所32基の仮設防火水槽を設置完了した。
[6]遠距離大量送水システム[ドラゴンブーストユニット]整備
福島第一原発から20q圏内の警戒区域においては、消火栓が使えず防火水槽による消火活動が主体となるが、用水容量が制限されていることからこれらを補う代替用水を確保するため、大容量(3,000g/min以上)を1q先まで送水できるポンプシステムを、大阪市消防局から無償譲渡を受け、平成24年4月20日に楢葉分署に配備を完了し運用を開始した。
[7]緊急消防援助隊支援車T型の配備
総務省消防庁では、平成11年10月に緊急消防援助隊の後方支援体制を強化するため「国有財産の無償使用」という形で支援車T型を各都道府県に1台ずつの配備が決定したが、原子力災害対応用としての活用を考慮し配備要望を行い、平成24年7月に配備決定がなされ平成25年2月27日に納車に至った。
双葉消防では警戒区域内での放射性物質を含む大規模火災や災害活動の際に、作戦指揮本部・職員の休養・遮蔽壁としての放射線防護、そして人員輸送等の効果的な運用体制ができるものと考えている。
地域再生に向けた消防支援(平成25年4月)
双葉消防本部では退職者が短期間に集中し平成24年度末時点で125名から103名の職員数まで減少することになった。8名を採用したが4月から9月までの期間、初任教育入校を控えており当該6ヶ月間の現場要員は103名での対応を強いられることになった。従前の体制から22名少ない103名体制では警戒区域巡回警戒、避難指示解除準備区域等に入域する住民救護等の充実した消防業務が非常に困難な事態となった。
このため、24時間体制での巡回警戒を充実させ火災の早期発見・通報・早期消火による大規模化への抑止並びに管内8町村に入域している住民の確実な救護対応を目的として、職員が減少したことへの2隊の補完及び区域再編により求められる警戒体制の強化のための2隊合わせて4隊の人的支援を福島県、福島県内消防本部、各自治体並びに総務省消防庁に要請した。
結果、平成25年4月1日から9月30日までの183日間に渡り、全国22消防本部から延べ64隊・195名の消防職員に双葉郡内の警戒活動並びに各種災害活動を展開してもらった。消防派遣隊による消防活動件数は延べ62件にのぼった。
福島第一原発事故により依然として避難指示が継続されていることに鑑み、国において双葉消防本部の消防活動上の課題を継続的に把握するとともに、関係者の参画を得て双葉消防本部の支援等について必要な検討・調整を行うため、平成25年9月28日に「双葉消防本部支援調整会議」を設置するに至った。
平成25年9月28日(土) に福島県自治会館において大石利雄消防庁長官ご臨席のもと第1回調整会議が行われた。第2回調整会議は平成25年11月11日(月) 広野町サッカー支援センターで行われている。
地域再生に向けた消防機能の再構築(平成26年4月)
浪江町は平成25年4月1日に警戒区域の再編を行い、全町の約83%が「避難指示解除準備区域」及び「居住制限区域」に指定された。このため浪江町は、役場内に帰町準備室を設置し復興拠点の拡大・除染・インフラ整備を加速化させ、生活環境が整った地域から順次帰還することを計画としている。
こうしたことから、双葉消防本部は平成25年4月1日から浪江町役場北側車庫2階の「労働組合事務所」1室を借用していたが平成26年4月1日からは「サンシャイン浪江」を借用し、24時間体制に移行した。
消防救急デジタル無線及び高機能指令装置の整備について、当初の計画では浪江消防署を基地局とすることとしていたが、東日本大震災並びに福島第一原発事故災害による20q圏内警戒区域設定により、計画変更を余儀なくされ、楢葉分署敷地内に建設した消防本部仮庁舎に高機能指令装置本体を設置することとした。
平成24年度から整備事業を進め、平成26年7月1日から運用開始に至った。
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浪江消防署機能の強化(平成27年4月)
平成27年3月1日に常磐自動車動「常磐富岡IC〜浪江IC」間が開通し、浪江IC〜広野IC間上り車線及び浪江IC〜南相馬IC間下り車線が浪江消防署からの出動となった。
また、双葉地方の復興が加速され作業員等の入域人口が増加していることから、川内出張所に移転していた浪江消防署の機能を浪江消防署に移転するとともに、浪江消防署葛尾出張所を固定体制とした。
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富岡消防署整備(平成27年11月)
富岡町・大熊町の火災救助救急等の対応強化、常磐自動車動及び国道6号線の通行量増加に対する事故対応並びに福島第一原発における事故対応等の強化を図るため、富岡町に臨時拠点を整備し、タンク車と救急車を配置した。
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富岡消防署24時間常駐体制整備(平成28年9月)
平成28年9月15日より富岡消防署が24時間体制に移行。富岡町の準備宿泊が9月17日から開始されることから体制強化を図った。
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富岡消防署車両人員の強化(平成29年4月)
平成29年4月1日に原子力発電所事故により富岡町に出されていた避難指示解除準備区域及び居住制限区域が解除されたことをうけ富岡消防署の勤務人員を3名から6名に
車両を2台から3台にした。
富岡町に帰町される方の安全安心を守るため初動対応の強化を図り、大型水槽車を配置することや仮設防火水槽を設置し帰還困難区域の水利不足の解消に努めた。
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葛尾出張所庁舎の強化(平成30年4月)
昭和48年10月に開所した葛尾出張所旧庁舎は建設から45年が経過し、東日本大震災の大地震の影響等により災害に対する活動拠点としての機能維持が困難になったことから平成30年4月に新消防庁舎が建設された。
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富岡消防署庁舎の強化(平成30年7月)
東日本大震災の大地震の影響等により災害に対する活動拠点としての機能維持が困難になったことから平成30年7月に新消防庁舎が建設された。
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浪江消防署庁舎の強化(平成30年8月)
東日本大震災の大地震の影響等により災害に対する活動拠点としての機能維持が困難になったことから平成30年8月に新消防庁舎が建設された。
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双葉消防本部災害対応力の強化(平成31年1月)
平成31年1月に無人航空機(ドローン)1台を配備する。
災害現場を上空から確認することにより、災害状況の把握が容易になることから効果的かつ速やかな消防活動を行うことを目的とする。
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浪江消防署車両の強化(平成31年2月)
10トン大型水槽車に変わり、単独での出動が可能な大型水槽車を浪江消防署に配備する。
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富岡消防署、遠距離大量送水システム車を配備(令和2年3月)
全国初のオールインワン遠距離大量送水システム車を導入、配備する。
消防車両2台を更新(令和3年3月)
浪江消防署の水中ポンプ搭載車を更新する。
富岡消防署楢葉分署の資器材搬送車を更新する。
富岡消防署楢葉分署高規格救急車を更新(令和4年3月)
富岡消防署楢葉分署の救急車を更新する。
富岡消防署車両3台更新(令和5年3月)
富岡消防署の水槽付きポンプ車を更新する。
富岡消防署の救急車を更新する。
富岡消防署の広報車を更新する。
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