2015年2月13日(金)
平成27年2月13日(金)坂本森男消防庁長官が被災地視察及び激励に来庁されました。
原発事故により避難指示区域に指定されている当地域の消防防災体制の現状を視察するとともに、厳しい環境下で消防活動を行っている職員を激励して頂きました。
初めに双葉地方の現状を報告するとともに、活動内容について説明を行いました。
次に消防訓練を見学されました。
消防長事務取扱の馬場町長に訓練開始申告を行い訓練を開始しました。
大阪市消防局から譲渡を受けた遠距離大量送水システム(ドラゴンブーストユニット)を使用して放水訓練を行いました。
写真手前4口は水を、奥2口はキャフスと呼ばれる消火薬剤と圧縮空気を混合した泡を放射しています。
遠距離大量送水システム(ドラゴンブーストユニット)は、河川等の自然水利を活用して毎分3トンもの消火用水を1km先まで送水可能なシステムです。
避難指示区域等で水利が乏しい双葉郡の頼もしい味方です。
消防次長が消防庁長官に訓練の説明をしています。
ご来賓の方々から挨拶と激励の言葉をいただきました。
初めに、坂本森男消防庁長官より激励の言葉をいただきました。
【坂本森男消防庁長官激励のお言葉】
東日本大震災から4年が経過しようとしています。震災では多大な犠牲者が生じましたが、その中で消防職団員の皆さまには、地域住民の生命や財産を守るという崇高な使命の下に、本当に頑張っておられることと思います。
福島県には、原子力発電所の事故によって未だに故郷に戻ることができず、避難生活を余儀なくされている方々が多数いらっしゃいます。 職員の皆さんもその一人だと思います。
また、双葉消防本部では、本部庁舎を始めとする多くの庁舎が使用できず、仮設庁舎から出動されているという厳しい現実が続いております。
しかしそうしたなか、去る1月6日には震災後初めてとなる出初め式を開催することができたというニュースをお聞きいたしました。本当に喜ばしいことであると思った次第です。
ただ今は、遠距離大量送水システムなどを活用した訓練、そしてキャフスによる放水訓練を拝見いたしました。新しい職員が多くて、平均年齢が33歳という若い消防本部でありますので、今後は消防活動技術をしっかりと身につけていただきまして、災害の備えを万全にしていただきたい。そのためにも訓練をしっかり続けていただきたいと思っております。先ほどの訓練では、その成果がしっかりと出ていると感じまして大変頼もしく思った次第です。
一方、避難指示解除準備区域の見直しや国道6号線の通行の再開、常磐自動車道浪江インターと南相馬インターの開通など、環境がどんどん変化しているところだと思いますけれども、こういったなかで今後は交通事故や火災など、様々な災害が増加することが懸念されます。
地域住民の皆さんからも防災、防火体制のより一層の強化が期待されていることと思います。双葉消防職員一人ひとりの役割が、これまで以上に重要になるものと感じております。
消防庁におきましても、「双葉消防本部支援調整会議」を設置して、その会議のなかで皆さまの消防活動上の諸課題を継続的に把握をし、必要な支援を行っておりますが、今後もしっかりと対応して参りたいと考えております。
消防庁といたしましては、大規模災害、特殊災害等から国民の生命身体財産を守るために、双葉消防本部のより一層の消防防災体制の充実強化を図り、そして隊員の皆さまが安心して消防活動に勤しんでいただけるよう努力して参る所存でございます。
引き続き地域住民の安全安心の確保に向けた活動をお願いいたしまして激励のことばとさせていただきます。
次に、渡邉利綱管理者より挨拶をいただきました。
【渡邉利綱管理者からの歓迎のご挨拶】
坂本森男消防庁長官には公務多忙の中、当双葉地方にお越し頂き歓迎を申し上げます。
また、只今は署員に対しまして、心温まる激励のお言葉を頂き、重ねて御礼申し上げます。
さて、当地方はご存じのとおり、東日本大震災並びに東京電力福島第一原子力発電所事故から間もなく四年目を迎えますが、各町村の復興に向けた取り組みには課題も多く、ふるさとを追われている住民は焦燥感でいっぱいの状況にあります。
こうした中、震災直後からこの地にとどまり、必死に故郷を守り続けてきた消防職員の献身的な活動は、双葉郡民にとっての誇りであると同時に、職員達が頑張っている姿は「ふるさと」と住民をつなぎ止める大事な要因のひとつだと思っております。
双葉消防がこうした大事な活動が継続できた陰には、長官を初めとする総務省消防庁のご支援・ご協力があったからこそであり、一時期、職員が少なくなり、危機的状況に陥った時には双葉地方を守るために「全国消防派遣隊」として全国各地から精鋭部隊を送って頂きました。
また、特殊な環境下での活動を続けるための装備の補てんや、資機材の拡充にもご支援を頂いたことで、懸念された大規模火災の抑止に繋がったものと理解しております。
こうしたご支援・ご協力のお陰をもちまして、双葉消防は何とか自立の方向が導き出せ、この後は双葉郡の再生とともに、体制整備をどのように再構築していくかが今後の課題であると思っております。
3月1日には常磐自動車道の全線開通やその後も汚染物質のパイロット輸送が始まるなど、消防需要が増加していく要因は日増しに多くなっていることに加え、福島第一原子力発電所も廃炉完了までは長い年月を要しますが、職員一丸となって双葉地方の再生に取り組んでいく所存ですので、今後とも双葉消防本部の活動に際し、ご支援・ご協力を賜りますよう、重ねてお願いを申し上げますとともに、長官並びにご列席の皆様方の益々のご活躍を祈念しまして、歓迎の挨拶に代えさせて頂きます。
最後に、長谷川哲也福島県生活環境部長より挨拶をいただきました。
【長谷川哲也生活環境部長からのご挨拶】
本日はお忙しい中、坂本長官には福島にお越し頂きまして、誠にありがとうございます。また震災以降、様々なご支援を頂いております。重ねて御礼を申し上げます。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
双葉消防本部の皆様には、住民の安全・安心確保のため、日夜献身的に消防活動に従事して頂いており、心から感謝を申し上げます。
東日本大震災の発災以降、非常に困難な状況の中で、行方不明者の捜索活動、避難所での救急救護を初め、警戒区域内での巡回活動、更には仮設住宅の巡回訪問活動など、献身的な消防活動にご尽力頂き、心から敬意を表します。
只今皆様方の遠距離大量送水システムによる放水訓練を拝見しましたが、近年、台風や集中豪雨等の局所的な災害などが各地で発生する状況が続いております。
こうした中、あらゆる災害から地域住民の生命、身体及び財産を守るためには、高度な技術と装備を有する消防本部への期待は、ますます大きなものとなっております。
大変厳しい状況が続きますけれども、隊員の皆様におかれましては、今後とも健康に十分に留意され、双葉地方の安全・安心のため、防災の要としてご尽力下さいますように改めてお願い申し上げます。
結びに、皆様のご健勝ご活躍を心からお祈り申し上げ、挨拶といたします。
本日は、大変お疲れ様でした。
出席者全員で記念撮影を行いました。
この後避難指示区域等の視察に向われました。
楢葉町天神岬公園・JR富岡駅周辺・福島第一原発周辺・浪江町請戸地区・浪江町権現堂地区をそれぞれ視察されました。
楢葉町天神岬公園にて楢葉町沿岸の震災当時の被害状況の説明を行いました。
浪江町請戸地区にある供養塔に花を手向け、震災の犠牲者の冥福を祈り手を合せられました。
この度は、遠方からのご視察ありがとうございました。また度重なるご支援に深く感謝するとともに、今後も東日本大震災で被災した地域の復旧・復興のためご支援・ご協力を頂きますようお願い申し上げます。