2016年3月28日(月)
平成28年3月10日(木)に双葉消防本部 東日本大震災5周年追想式を執り行いました。
双葉消防本部 東日本大震災5周年追想式が執り行われました。合わせて、震災から5年間の活動と職員の手記が詰まった「消防活動記録誌=双葉消防の戦い=」が発刊されました。
東日本大震災5周年追想式の様子。震災の犠牲となった多くの御霊に対し、黙祷を捧げました。
消防長事務取扱が式辞を述べられました。
東日本大震災五周年追想式 あいさつ
「双葉消防本部東日本大震災5周年追想式」にあたり、ご挨拶を申し上げます。
大切な「ふるさとふたば」に、未曾有の被害をもたらした、大震災そして福島第一原発事故から5年の歳月が流れようとしております。
まず、この震災により犠牲となられた多くの方々、そしてご家族の皆様方に対して、改めて、心から哀悼の誠を捧げます。また、この大惨事の渦中におかれ、慣れ親しんだふるさとに思いを馳せながら、今なお全国各地において、長期に渡る避難生活を余儀なくされている、双葉郡住民の皆様の胸中を察すると、心が痛む思いであります。被災者の皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
さて、国内史上最大となる、マグニチュード9.0という東北地方太平洋沖地震は、その強烈な揺れとともに、15メートルを超える大津波を誘発し、さらには、福島第一原発事故を引き起こすという、大規模複合災害へとその災害態様を拡大させました。私たちは、この大震災によって、大切な家族や友人、家や財産を失うとともに、慣れ親しんだふるさとの景観すら残すことを許されない、自然の猛威によって、悲しみに打ちひしがれました。
しかし、全国から寄せられた支援や、温かなメッセージに励まされ、この比類なき災害に対しても、真正面から向き合うことができ、震災発生直後から今日までの5年間に渡り、「ふるさと双葉を守る」の一念で、懸命に消防活動を継続して参りました。
とりわけ、当消防職員は、自らも被災者として厳しい立場にありながらも、震災直後からこの地に留まり、日夜、厳寒、酷暑の区別なく、まさに身命を賭して、地域住民の生命・財産を守り続けてきた、その崇高な消防魂と強い使命感に、感謝と敬意を表するとともに、双葉消防の誇りを感じております。
また、震災急性期の厳しい活動環境のなかにあっても、自治体消防の責務を果たすために、この地に留まることを決断した、当時の幹部の皆様にも改めて敬意を表する次第であります。
こうした、様々な困難を乗り越え、本日ここに、「双葉消防本部東日本大震災5周年追想式」が挙行されますことは、非常に感慨深いものがあります。本追想式は、震災で犠牲となられた多くの御霊に対し、全職員で哀悼の意を表することが一番の目的ではありますが、併せて、震災急性期から今日までの災害対応を顧みて、今後の消防施策の糧とすべく事柄を、再認識する機会であります。
ご周知の通り、国は来年度から「復興・創生期間」として位置付けし、帰還困難区域を除く避難指示区域を解除するとしておりまして、今後は被災地の自立に向けた取り組みが加速化するものと考えております。双葉消防本部と致しましても、今後5年間を「再生」そして「発展」の時期として捉え、まず浪江消防署・富岡消防署・葛尾出張所の庁舎建設を実現し、順次、新たな双葉消防を創造するための施策を、展開して参りたいと考えておりますので、職員各位におかれましても、なお一層のご精励をお願いいたします。
今後も原発事故の対応は、永く続くことになりますが、双葉消防が行っている消防活動は、かつて日本全国のどこの消防隊も経験したことのない、特殊な活動でありますので、歴史的な活動をしていることに、自負と誇りを抱きながら、全員一丸となって、双葉郡を守って参りましょう。
結びに、今般、発刊された「消防活動記録誌」の制作に尽力戴いた、編集委員各位に感謝を申し上げますとともに、この記録誌が多くの方々の目に触れ、私たちが経験して来た、これまでの苦悩や想いが、今後の災害対応の一助になることを心より祈念して挨拶と致します。
双葉地方広域市町村圏組合事務局長より、あいさつをいただきました。
記録誌編集委員会委員長の消防本部次長より、双葉消防本部監修「消防活動記録誌=双葉消防の戦い=」発刊の報告をさせていただきました。
震災対応消防活動の証言として、記録誌に掲載さている職員の手記を発表しました。
《富岡消防署楢葉分署 松野真一消防司令の手記》「東日本大震災での活動」
地震発生から激動の6日間を、救急隊長としての当時の心境を交えて綴りました。
《富岡消防署 佐藤圭太 消防司令補の手記》「東日本大震災」
震災当時の混乱を極める現場や、災害活動継続のために食料調達に奔走する等、様々な視点から当時の様子を綴りました。
《富岡消防署 小野田洋平 消防司令補の手記》「郷土愛と使命感」
絶望的な状況の中孤立無援の状態でも、故郷を守るため諦めずに闘い続けた消防士の思いを綴りました。
《浪江消防署 作山真哉 消防士長の手記》「双葉消防の存在意義」
消防の存在意義を揺るがす程の津波と原子力の二重の災害を経験した教訓を、後輩に伝える重要性を綴りました。
消防長事務取扱から富岡消防署長へ、職員の想いが詰まった消防活動記録誌が伝達されました。
震災対応活動の追想として、5年間の写真をまとめたスライドショーを上映しました。震災の急性期を駆け抜けたOBの方々も、映像で流れる写真をそれぞれの想いで見ておられたことでしょう。当時の出来事が鮮明によみがえります。
浪江消防署長より、力強い決意表明がされました。震災から5年経ちましたが、災害は継続しています。双葉郡の住民の方々が安心して過ごせるように、消防は今後も昼夜を問わず業務に励みます。
東日本大震災を乗り越え、当時の思いを糧に日々の訓練を重ね、更なる災害が起きても対応できる心強い精鋭たちがここ双葉消防にいます。全力で、その先へ進み続けます。